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エイテウアラオト -エイテ- 第3話「出逢いの刻来たりて」

by カウラーキー(kouraku)with新生クラヴァー&新生terataku

「……!」
 光から解放された時、コウはまた公園に戻っていた。
「あ……よかった……戻って、きた……」
 コウは知らず力の入っていたところがガクリとして、ふらふらとその場に崩れ落ちた。
「あ……あはは……あはは……はは」
 両手を土に付け、一つ大きなため息をつく。
「……ふう……~~~~~~」
 すると、なにやら体とは違う重みを感じた。
「あっ……」
 想い出す。

――「ただ大切にしてやってくれ。俺から言えるのはそれだけだ。まあ、コウ君なら何の心配もいらないだろう。だから渡したのだが」――

 ひらめいた。

 周囲を見渡す。

「誰もいない……」

 そういえば巻き込まれた時は無我夢中だったが、公園にいた人々は驚いて逃げてしまったようだ。

「…………」
 おそるおそる、ポケットに手を突っ込んだ。
 触る。
「熱っ!」
 それは先ほど受け取ったその時よりも、ずっと焼けるように脈を打っていた。

――「呼んでる……」――

「――?」

 コウは自分でつぶやいて、自分で疑問に想った。

――なんとなく、分かる。――

「…………」
 この石が、自分を、呼んでいる。

 もう一度触り直し、ゆっくりと握りしめる。

「――――」

 取り出して、眼前に確りと、自然と、構えた。

「私は、あなたの、名を、呼ばう」

 震えながら、声を出す。

「応えてくれ。キミの名は――」

 強く力をこめる。

「――――ケルベロスッ――――!」

 コウが強くはっきりと声にした瞬間、握りしめた召喚石から赤黒い光が幾重にも放たれ、眼前の地面に落ち、砂煙を撒きながらまた真上へと立ち上る。

「ぶわっ……!」
 一瞬視界が砂で遮られたコウは、なんとか涙しながら耐える。

 ――砂の霧が晴れた。

「あ……」

 そこには――。

「よう、召喚主サマ」
「初めまして、人間さん♪」
「やあやあ我こそは――なんてね!」

 3人の、犬の耳と尻尾を生やした乙女たちがいた。

 コウはなんとなく、力が抜けてその場にへたり込む。

「ハッ、ドヘタレ」
 真っ先に声を掛けてくれた1人の聖精(セレア)の少女が、コウを罵倒する。

「……こういう時、どんな顔をしたらいいか分からないの」
 コウはか細い声を漏らし、変な笑顔になった。
「笑えばいいと思うよ、お兄ちゃん!」
 3人のうちで一番幼く見える少女が明るく、哀れな主を励ます。
「人間さん、我々は地球の地獄より馳せ参じた、ケルベロスです。あなたのお名前は?」
 一番年長らしいコウと年齢のそう違わなさそうな外見をした落ち着きのある女性が、優しく問いかける。
「あ……コウ。私は、コウ・アオギリ。えっと……キミたちが……私の……その……聖精(セレア)、で、いい、のかな?」
「ああ、認めるよ」
「オーケー!」
「尊きお名前、確かに我らに。これからよろしくお願い致しますわ、人間さん♪」
「え……そんな、そんなあっさり……? いいの……?」
 コウは顕れた3人の娘たちのあっさりとした応対にきょとんとする。
「オウ、ほかのヤツらはどうか分からんが、所詮オレたち程度、こんなもんだろ」
 最初に声をかけてくれた聖精(セレア)の娘が毅然と言い放つ。
「で……」
 先ほどからコウを射貫く視線で見ている、その金髪長髪の少女が続けた。
「私はガウナ。私らの住んでる領域では“火”って意味だ。よろしく、クソ主人サマ」
「ではつづいて!」
 桃色髪の、円い瞳をしたあどけない少女がさらに継ぐ。
「私はクェルド。私たちのところでは“毒”って意味だよ!」
「では最後に私が♪」
 水色の髪の、美しい女性が声を紡ぐ。
「我が名はマーレ。私たち家族のいる場所では、“海”を意味します」
「おぉ……」
 コウはへたり込んだまま、彼女らの自己紹介を素直に聞いていた。自然と頬が緩みながら、拍手する。
「ま、暇してたしな。変に生き急がさせられるよか、ドヘタレの許でまったり異世界見物とでもいこうか」
 ガウナと名乗った少女が文字通り、牙を剥いた。がるる、と唸る。
「ガウ姉、お兄ちゃんに荒事は期待しないようにね~」
 クェルドと言った少女が荒ぶる姉をなだめる。
「家事に雑事に戦事に祭事、おはようからおやすみまで、幾久しく、あなたのお傍に。どうぞなんなりと、ご用命くださいませ」
 マーレと自らを名乗った女性もまた、独特の個性でぺこりとコウに頭を下げる。
「あ、ありがとう……」
 コウはあいまいながらも幸せそうな笑みを浮かべて、ほっとした様子だった。
「で、テメエん家どこだよ、案内しろ、クソ主人」
「あ、はい……」
 なんだかもう、いろいろとダメダメそうである。
「ガウ姉……」
「ガウちゃん……」
「えっ、なんか悪いことしたのか。私」
「えっ」
「えっ」
 なんだかもう、いろいろとダメダメそうである。


カウラーキー(kouraku)with新生クラヴァー&新生terataku
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